もしも僕が殺人鬼だったら

「ありがとう・さようなら」を口ずさみながら同級生が授業を受けている教室の前のドアを開けて、


ありがとう・さようなら 先生
しかられたことさえ あたたかい


まず担任を長い銃で一発。


ありがとう・さようなら ともだち
ひとつずつの笑顔 はずむ声


つぎにあの男子生徒に一発、二発。
背中を向けて逃げるその友達も右膝、左膝、胸の順に。


夏の日ざしにも 冬の空の下でも
みんなまぶしく 輝いていた


机の下で丸くなっている女子はナイフで首をスッ。太ももをダッ。眼をザッ。


ありがとう・さようなら ともだち


以上を2、3度繰り返して廊下に出る。


ありがとう・さようなら 教室
走るように過ぎた 楽しい日


隣の教室には入らずに外から目が合った人から。


思い出の傷(きず)が 残るあの机に
だれが今度は すわるんだろう
ありがとう・さようなら 教室


廊下を歩いて階段を上り屋上へ。授業をサボっていた下級生女子を撃って校庭を眺めた後、空を見上げる。


ありがとう・さようなら みんな みんな


ありがとう・さようなら みんな