向田邦子の陽射し

向田邦子の陽射し (文春文庫)

向田邦子の陽射し (文春文庫)

向田邦子のすごさ、偉大さ、恐ろしさを太田光がこれでもかと語り尽くす。知識と教養に乏しい自分のような人間には太田さんが口酸っぱく向田さんのここがすごいんですよ、この表現は他の誰にも真似できないものなんですよと伝えてくれてはじめてそのすさまじさが理解できる。
太田さんの饒舌さ、その熱量が向田邦子さんへの愛。すさまじい向田邦子さんを表現する太田さんのすさまじさ。2人を楽しめる。

以前カーボーイで太田さんが薦めていた思い出トランプを読みビックリした記憶はあったのですが、あらためて掲載された短編小説を読んで驚愕しました。「大根の月」という話はたった14ページ。その中に全部入ってる。不足がない。きわめて日常。でもとてつもなく恐ろしい。畏怖。とんでもない。そして、男と女。

立ち読みでもなんでもこの短編だけでも読んでみてほしい。きっと他の小説を読まずにいられなくなるから。他のエッセイ・脚本もまあどうやったらこんなもの書けるのかと思うものばかり。あ、これらの感想はほぼほぼ太田さんの受け売りです。


太田さんに、感謝。