死神の精度

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

伊坂幸太郎著。人間の死を司る死神のお話。
無機質でクールで人間とは別の価値観を持っている死神と、人間とのやりとりがコミカルかつユーモラス。
連作短編集になっていて、そこはかとないつながりが垣間見えるのがすてき。最後の「死神対老女」では、ニクいねコノ!、と思わずつぶやくこと受け合い。
途中、ミステリを茶化しているところもあり、それも可笑しい。
あと、ミュージックね。なにはなくともミュージック。これ重要。


お気に入りは「死神と恋愛」。
伊坂さんの書く男女の関係性がとても好きです。くっつぎすぎていない絶妙な距離感。なのにとても二人の仲が深いことがわかるという。
以前読んだ小説の中に登場した、毎日夕食後にオセロをする夫婦、がいまでも印象に残っています。オセロの強さがほぼ互角で勝敗は五分五分ってところも理想的。
そんな伊坂さんが書く、そのものズバリの「恋愛」ですからね。
とてもやさしいです。


ただひとつだけ、死神はその時々で容姿を変えて20代の学生になったり40代のおじさんになったりするのですが、映画の予告などで見た主演の金城武がどうしても頭の中にチラついてしまったことが、よろしくなかったです。
まあぴったりではあるんですけどね。