くまちゃん
角田光代「くまちゃん」読了。
おもしろかった。
そして怖かった。
角田光代さんの小説は女の人の内側をあからさまにしてしまう。
朝ハイテンションだったのに昼間は泣きそうなくらい落ち込んでて、そうかと思えば放課後にはまた何事もなかったように笑っている、
そんなクラスメイトの女子の、自分にはわかり得なかった感情の変化を詳らかにしてしまうような。
この本は連作短編恋愛小説で、
男女どちらもメインになっているけれど、
どの話でも女の人の心の機敏が如実に表されていると思った。
知りたかった、けど知ってはいけない女の人の本音を知ってしまった気分。
小説では携帯電話のない時代から2000年を越えたあたりまで、それぞれ登場人物が過去の恋愛を経て成長していく姿が描かれている。
仕事でも恋愛でも。
自分はどうだ?と振り返ったら恐ろしい。
でも角田さんにかかれば一端の物語にはなるんじゃないかという気はする。なっていてほしい。
時代は変わっても人間の根本的な部分は変わらない。
恋愛は人それぞれ。
様々な条件が重なって思いがけず始まるし終わる。
そしてそれが理解できるのは、時を経て新しい恋が始まった後なのかもしれない。